*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?21完


「短期賃貸借制度」

短期賃貸借制度が廃止されたといっても、平成16年3月31日ま

でに締結された賃貸借、それからその賃貸借が期間満了で更新され

た場合にも引き続き適用されますので、短期賃貸借制度について復

習しておきましょう。


○期間が3年以内の建物賃貸借による入居者は、競売開始前の賃貸

借契約(競売開始前の更新を含む。)による賃借期間が、競落人の

代金納付(所有権移転)の時点でまだ残っている場合には、競落後

も賃借人として保護されるという制度です。

どう保護されるのかいうと

・競売による家主の交代後も、残りの賃借期間は居住できます。

・新しい家主に対し敷金(保証金)返還を請求することができます。(ここが重要)

○期間が3年以内の建物賃貸借による入居者は、競売開始前の賃貸

借契約(競売開始前の更新を含む。)による賃借期間が、競落人の

代金納付(所有権移転)前に満了している場合は保護されません。

・競落後の居住・・・できません。直ちに立ち退きです。

・元の家主に対し敷金(保証金)返還を請求することができます。

元の家主から返還してもらえる確立はゼロに等しいでしょう。



「期間が3年を超える長期賃貸借」

もともと長期の場合は、賃借人は保護されません。

・競落後の居住・・・できません。直ちに立ち退きです。

・元の家主に対し敷金(保証金)返還を請求することができます。

元の家主から返還してもらえる確立はゼロに等しいでしょう。




【明渡し猶予制度】

平成16年4月1日以降の新規の賃貸借契約(まったく新しい契約

です。これから借家、マンションを借りようとする人はすべてこの

制度適用になります。)

・建物賃貸借期間の長短に関係なく、競売開始前から入居している

すべての賃借人が、競落人の代金納付(所有権移転)のときから6

か月間は、そのまま居住できるという制度です。

・敷金(保証金)返還は、元の家主に対して請求することになりま

す。


ここで一番問題になるのは、敷金返還です。元の家主に返してもら

うことになりますが、元の家主は銀行等の返済ができなくて、競売

にかけられたのですから、返してもらえないと考えるべきでしょ

う。

金額の大きい敷金は注意が必要になります。


(注)ここで述べてきたのは抵当権設定後の入居(家主が銀行等からお金を借りてその担保に銀行等の抵当権を登記簿につけいている)で、その抵当権が実行されて競売になった場合の話です。

入居前には抵当権が登記簿についてついていなかって、入居の後抵当権がつき、その抵当権が実行されて競売された場合は、入居者はずっと住み続ける権利があります。賃借権が抵当権に勝つということになります。敷金も新しい家主に請求することになります。      (完)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?20      


「短期賃貸借制度、明渡し猶予制度」

法律全般にいえることですが、ある法律を知らないからと文句を言ってもだめなんです。知らないほうが悪いんです。これこれの申請をすれば税金を支払わなくても済んだのに・・・・・と役所に文句を言ってもだめなんです。

行政ーー役所は法律で動いています。公報等で説明しますが、それ以上のことはしません。どうかすると職権乱用になりますから・・

ですから目を大きく見開いて、少しでも疑問点があれば役所に聞きに行くんです。だめでもともとの精神でいきましょう。



民法が改正され、平成16年4月1日から「短期賃貸借制度」が廃止され「明渡し猶予制度」が導入されました。


抵当権が設定されている(家主は、ほとんど銀行融資で買っていますので銀行の抵当権が設定されています。)借家や賃貸マンションに入居されている方々は、その借家やマンションの抵当権が実行されて競売になった場合、どうなるのでしょう?

不動産業者は、重要事項の説明で、この賃貸マンションには抵当権が設定されていますと説明はします。

しかし、その抵当権が実行されて、競売になった場合は、6ヶ月以内に出ていけといわれたら出て行かなくてはならない。
保証金の返還は元の家主にしなければならないので、99%返還してもらえません。等の説明を
不動産業者しません。

これから賃貸マンションを借りる人も最低これくらいは、常識として知っておく必要があります。

そこで復習し、頭の整理をしておきましょう。      (続)


*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?19

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!
この家を落札したのは?19



「解説」

・家賃の供託についての山田の解釈は正しい。

家主が家賃の受領を拒否したときは、借家人田中は供託をして、家賃不払いから逃れられるわけです。

家主が家賃の受領を拒否していないのに、家賃を供託した場合は、供託の効力はなく、家主に対しは家賃不払いとなります。(民法第493条、第494条)

・競売物件現地調査時に借家人と会うことが大切。

山田が今回のように、借家人から脅迫され、恐ろしい目に遭った一番大きな原因は、現地調査時に、競売物件に入っていた借家人田中に面接しなかったことです。

ここでいろいろ話を聞いておれば、不動産業者が「借家人田中に競売物件を落札したらどうか」と話を持ちかけていたことがわかったかもしれない。

そのことがわかったとしても、あきらめることはないのです。競売物件の屋根が修理されているという山田の判断は正しかったし、駅から至近距離にあったということも正しい判断です。

・この競売を総合的に判断すると、落札価格は少し高めではあったが、古い木造建物の修理費で最大のものはなんといっても屋根の修理でしょう。その屋根が修理されているという山田の判断は正しかったといえるでしょう。


・注意事項

1.最近小さくて長時間録音でき、価格も安いICレコーダーが市販されています。競売物件の占有者等に会うときは、この程度のものをポケットに忍ばせておく必要があります。場合によれば面接時、目の前に置くことも効果があります。

2.話し合い、交渉等、できる限り文書でやり取りするほうがいいでしょう。 (続)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か! この家を落札したのは?18


「務所帰りの主人毒舌」


「これ修理せんかったら家賃供託してやる。俺は刑務所に何回も入っておる

んや。嫌がらせして、持つ気なくさして売らさしたる。」


このとき山田は気づいた。家賃の受入については銀行振り込みで、その口座

は前に連絡したとおりであり、いつでも受け入れられる状態である。家賃受

け取りを拒否したわけではない。拒否した場合なら供託もやむをえないかも

しれないが・・・・

これは間違いない。よし一つ言ってやろう。


「供託したらいいでしょう。どんどん供託したらいいでしょう。こちらは家

賃を受け取っていないことになるから家賃不払いで、建物を明渡してもらう

ことになりますよ。それでもいいんなら供託してくださいよ。」山田はここ

ぞとばかり大きな声で言い切った。

主人が席を立って、横の炊事場へ行き「この床ぼこぼこや。」と言う。山田

はすかさず主人の横まで行き、床を確認した。ぼこぼこではなかった。

主人はそのまま席を立って戻ってこなかった。山田は勝ったと思った。

(続)


*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?17

「務所帰りの主人登場」


山田は電話連絡のあった時間に再訪問した。

今回は田中茂子の横に、白髪交じりの坊主頭、大柄で頑丈そうな男があぐら

をかいてこちらをにらみつけていた。山田は、瞬間いやな予感がした。

茂子は「主人です」と横の男を紹介した。

その主人が突然立ち上がった。

「俺は務所帰りや。お前か! この家を落札したのは? 不動産業者に任し

ておけばいいもんを、しろうとだてらに競売に手を出しやがって・・・こん

な古い家を高い値で買いやがって・・・、こんな古い家誰も買わんと不動産

業者が言っとったわ。床があっちこっち腐っとるわ、けがしたらどない落と

し前つけてくれるんや。家主さんよう!」

「悪い所は言ってもらえば修理します。」山田は腹を据えていた。(続)


*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?16

「新家主としての挨拶」

山田は、電話連絡で先方の都合を聞いて、新家主として挨拶に行く。

契約者は田中茂子という女性の名前であった。40歳なかばの女性は、長い

髪の毛を顔面にたらし、伏し目がちに山田の目を見なかった。

山田は銀行融資で買ったものだから、家賃は遅れずに払ってもらはないと困

る旨伝える。

茂子は、雨漏りがすると押入れの壁を指差した。壁と押入れのふすまに雨漏

りのあとがあった。裁判所の書類のコピー、写真でもそのことははっきりし

ていた。

しかし裁判所の書類のコピーの中には、前家主が屋根を修理したときの領収

書の写しもあった。修理前の雨漏りのあとかもしれないと山田は思った。

家賃が高いとも言った。犬猫を飼えない、契約書は厳しすぎると言った。

茂子は、主人は今遠くにいて、たまに会いに行くのだがたいへんだと、変わ

らず伏し目がちに言うのである。

主人が帰ってきたら、建物を買い取ってもいい、と言ったときは、山田は自

分の耳を疑った。聞き間違ったのかと思った。

後日連絡するからもう1回来てくれと茂子が言うので、仕方なく引き揚げ

る。(続)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?15


「権利証と事後確認」


待ちに待った登記済み(権利証)が裁判所から山田宅に郵送されてきた。民間の権利証に比べお粗末な感じである。

登記嘱託書(役所が登記申請した場合は、申請書といわず、嘱託書というのである)それも差押抹消登記、抵当権抹消登記、所有権移転登記の3登記が1つの嘱託書で申請されている。

最後には法務局の「登記済」の大きなハンコが押されていた。

それでも権利証は権利証である。ついに自分のものとなった。山田は、しろうとではあるが、なんとかここまでこれたことに自己満足していた。

翌日、山田は法務局へ行って、土地と建物の登記簿謄本の交付を受けた。差押、抵当権の登記が抹消され、所有者として山田の名前が記載されていた。登記簿も間違いなく山田の名前であり、山田の住所も間違いないことを確認し、安心した。

「解説」

山田が、土地と建物の登記簿謄本の交付を受け、差押、抵当権が抹消され、ほかに権利関係の登記がなくきれいな状態であること、所有者の住所氏名が山田の住所氏名に間違いがないか確認する行為は、競売だけに限らず、どんな場合にも必要です。

このことを事後確認(登記が終わったあとの確認)といいます。権利証、申請書では間違いないが、登記簿では間違っていることがあります。人間のやることですから間違いもたまにはあります。

このとき間違いを発見し、申請書なり権利証を見せて、その旨法務局に申し出れば、何の申請もなく訂正してくれる可能性大です。

ある程度の期間が経過してからでは、法務局側の記載間違いであっても、訂正の申請書を出してくれということになります。費用なり時間がかかることになります。

登記が終れば、お金儲けと思い、必ず事後確認をしましょう。   (続)



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