*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?7


「法務局調査」

現況調査報告書に添付されている公図(土地台帳付属地図)地積測量図、建物図面各階平面図が法務局に備え付けられているものと変わりないかの確認である。

それと登記簿謄本も確認しておくこと。このときに競売物件の周囲の登記簿も閲覧し、所有者をメモしておく。

これが公図ではなく、14条地図(旧法17条地図、国土調査されて地図が備え付けられている)であるときもあるし、14条地図にはならなかったが、それに準ずる地図もある。

昭和40年ごろ以降に分筆された土地なら地積測量図が法務局に備え付けられている。それ以前の場合は分筆申告書として保管されている場合があるからそれらを閲覧調査しておく。

 
「市町村役場調査」

道路は位置指定道路と書いてあるが、間違いないか。建築基準法上の道路に間違いないか。単なる専用通路ではないか。都市計画用途地域、その他制限はないか。
等市町村役場建築指導課、都市計画課で教えてもらう。


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解説

法務局関係の調査は専門家が調査しているようである。最低の調査資料は整っている。だからといってその確認に手を抜いてはダメ。

公図、地積測量図−−−−−道路と競売物件との間に第三者の土地はないか? 道路に地番がついている場合はその登記簿も閲覧しておくこと。

競売で落札しても道路と競売物件との間に第三者の土地があればどうしようもない。

裁判所が調査ミスだといっても、不動産業者の重要事項説明書とは違って、いっさい責任取らない。

裁判所相手に訴訟しても、向こうは裁判では超専門家である。勝てる可能性はほとんどないのである。

市町村役場調査。これもミスがあれば裁判所は逃げます。こんな調査はそちらでしっかりやればいい。便宜上やっているに過ぎないというだろう。

要するに、自分の買うべき不動産は自分が責任をもって調査すべきである。他人がそこまでしっかり調査はしないだろうと考えれば、腹も立ちません。(笑) (続)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?6


「評価書」


評価人(不動産鑑定士)による土地建物の評価書である。
評価の条件、評価額算出の過程を述べている。

「競売を前提とした各対象物件の適正価格の評定」という項目で次のとおり述べている。

一般市場における概ね価格水準を求めた。

次に競売市場が持つ前記「一般的な特殊性」及び「当該物件固有の種別、総額、利用状況等」を考慮した市場修正率を、−45%と判定した。

かつ物件2(建物)については、前述のとおりの占有者がいるので、その契約内容及び占有状態等の事情を考慮し13%の減価を行い、各対象物件の評価額をそれぞれ次のとおり評定した。

土地については45%引きの評価額、建物については45%+13%=58%引きの評価額、合計として売却基準価額の325万円を算出している。


山田は、この評価書を読んで、安いと思った。次は法務局と市町村役場の調査だと思った。

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解説

こんな評価書を読むと、貸家として使用するわけだから、明渡しの手続き、費用が不要である。誰でも安いと思うだろう。

ここが注意すべきところである。競落した時点で占有者が借家人ではなく別人が占拠していたらどうなるか。強制執行の手続き、費用が必要になってくるのである。
こんなことも考慮していかなければなりません。           (続)


*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?5

「現況調査報告書」

調査結果を詳しく書いてある。特に「執行官の意見等」では、土地建物の状況で登記簿面積(公簿)と比べ、概測1坪ほど少ない。

占有状況・・・玄関には○○の表札がかかっており、○○が家族とともに居住して、住居として占有使用しているものと認められる。

執行官の意見・・・評価人の調査では、東側道路は、位置指定道路であるとのことであった。

関係人の陳述

居住者○○○○の陳述要旨・・・夫婦と子供3人が居住している。ほかに居住者はいない。本件土地建物について、何人との間にも貸借関係はありません。
建物横のカーポートは賃借した当時からあったものです。

1階和室は雨漏りがします。(写真15)浴室入口の床の木が湿気で一部腐食しております。(写真25)

法務局調査資料
公図写し(台帳付属地図)地積測量図、建物図面添付

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
解説

公簿比1坪ほど少ないというのはさほど問題ではない。

カーポート(未登記)については簡易なもので建物登記できない程度のもの。これも問題外。小さな組み立て式物置でコンクリートブロックの上に乗せてあるもの等も問題外である。

ここで注意しなければならないのは、土地に定着している建物(しっかりしたコンクリートの基礎にアンカーボルト等で固定されている建物)で、勉強部屋等の建物である。競売される建物の付属建物として登記されていない場合(未登記の建物)は注意する必要がある。

第三者の権利(地上権、賃借権)等が絡んできて、競売が完了したのに、その建物について裁判しなければならない事態を招く恐れがある。

雨漏りについては、その後屋根の修理をしたのではないかと考えられる。腐食については修理する必要がある。どちらにしても費用はあまりかからないものと考えられる。

次はいよいよ評価書である。 (続)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?4


「物件明細書」

土地には賃借権はなし、建物には賃借権別紙のとおり、と書いてあった。

別紙 賃借権−−−−−範囲 全部、賃借人 ○○○○、期限 平成○○年○○月○○日、借賃 7万円、敷金50万円、特約 なし。

備考には、市街化調整区域内に位置する。東側で幅員約4.8mの道路に面する。

本件土地は、現況が公簿面積より少ない可能性がある

。売却基準価額は、公簿面積を基にして定めた。簡易なカーポートが存する。

本件建物は、1階和室に雨漏り跡があり、同浴室入り口部分が破損している。



山田は単純に利回り計算をした。7万x12ヶ月=84万 84万÷325万=0.25 25%である。 単純な概略計算だが4年で投資額が回収できるわけである。

屋根の観察から考えると数年前に一度修理している。雨漏りはそのときのものと思われる。仮にそれ以後の雨漏りとしても小修理でいける。浴室入り口部分の破損は古い建物では当たり前である。素人が使えば当然であると友達に教えてもらっていたので驚かなかった。

現況が公簿面積より少ない可能性がある。−−−−−この点については気がかりであった。

物件明細書は、このように簡単なものであった。しかし、次の現況調査報告書はかなり詳しく書かれているようである。           (続)


*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?3

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?3


いよいよ裁判所である。胸がどきどきする。山田は裁判所の中へ入った経験がなかった。

廊下は三々五々人が歩いている。手錠をかけられロープにつながれた人も混じっている。

執行官室に近づくと「暴力団に脅されたときは当裁判所か最寄の警察署に連絡してください。」と書いた紙が廊下の壁に貼ってあった。

だんだんと心細くなってきた。今まで暴力団の資金源になっていたことは知っていたが、今はそんなことはないんだということも聞かされていた。

しかしこんな貼り紙を現実に見ると、どうも消極的になる。山田は迷った。

しかし駅から300mが魅力だ。裁判所の書類を見るだけなら関係ないだろう、せっかく裁判所まで来たんだからと覚悟し、執行官室に進む。あった。閲覧室である。
誰の許可も必要ないようである。

ドアを開けると、中にいた人たちの視線を浴びた。
初めてではないんだ、こんなことは慣れているんだぞという態度で悠々と空いている席に着く。そしてカバンから筆記用具を取り出す。

付近をみると、暴力団風の人間はいない。書類棚にファイルが並んでいる。その書類棚からファイルを持ってきては自分の席でそのファイルと見ている。

あれか、あそこに書類があるんだ。そうだ。事件番号(平成○○年(ヶ)○○○○号)順に並べてあるに違いない。物件情報をプリントしていたのでそれを持って書類棚のところへ行く。

ファイルの背には事件番号が書かれている。順番は狂っていたが目ざす事件番号のファイルがあった。

それを持って、いつもそうしているふりをして自分の席へ持ち帰る。

3点セットといわれる物件明細書、現況調査報告書、評価書があった。外部、室内の写真がたくさん掲載されている。

向こうの方にコピー機が置いてある。見ているとお金を入れてコピーしている。

これだ、少々費用がかかっても全部コピーして、家に帰ってからゆっくり見ればいいんだ。その方がしろうとの自分にとってはいいと判断した。コピー代は安かったのでさほどかからなかった。(続)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?2

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この話は、当サイトの読者が生まれて初めて経験した競売の物語である。
その話を、ちゅうさんが解説を入れて仕上げたもので、ノン・フィクションであり、競売の経験のない読者にとっては、たいへん参考になると思います。
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駅から300m!今まで競売物件を閲覧してきたが、これほど駅から近い物件は初めてである。

これだけ近くなら収益物件、貸家として絶対にいい。現在借家人が入居しているのだからそのまま引き継げばいいだけだ。いちばん心配な明渡し交渉が不要である。

単純に325万円を25坪で割ってみた。1坪13万円である。どう考えても相場の半分以下である。しろうとなりに考えた山田は、物件情報についていた地図をプリントして現地に出かけた。

山田には、工務店経営の父親の元で働いている友達がいた。中古物件についていろいろアドバイスを受けていた。

友達に教えられたとおり、まず物件の屋根を見た。
屋根瓦は整然としていて浮き上がり不整列はない。棟瓦(屋根の一番高いところで端から端まで瓦が数段積み上げられている個所、両側に鬼瓦が付いている)を見た。

棟瓦の下と、軒先から上ってくる瓦との接点に、端から端まで三日月型のシックイ(白色で石灰が主原料。現在はセメント系のものが主に使われている)が塗られている個所(プロは三日月と呼んでいる)を見た。白く新しい感じで、剥がれ落ちて赤土が見えているような個所はなかった。

棟瓦と鬼瓦との接続部分のシックイも白く新しい感じであった。

モルタル塗りの外壁を見た。剥がれ落ちて修理してあるような個所もなかった。外壁の浮き上がりもなく、塗装も古くはなかった。

敷地は道路より少し高く、湿気ている様子もなく、これはいけると思った。

建物占有者が借家人であり、そのまま貸家として使用する限り、明渡しの交渉も必要ないわけだし、借家人に会う必要もないだろうと、会いたくない気持ちを正当化した。

さあ、次は裁判所だ。裁判所の中へ入るのは生まれて初めてである。何となく怖い気がする。(続)

*競売ドキュメント 俺は務所帰りや。お前か!この家を落札したのは?1

この話は、当サイトの読者が生まれて初めて経験した競売の物語である。

その話を、ちゅうさんが解説を入れて仕上げたもので、ノン・フィクション

であり、競売の経験のない読者にとっては、たいへん参考になると思います。


山田は700万円ほど貯めたお金を有効に使おうとあれこれ検討していた。

たまたまインターネットで競売のことを知り、競売なら何とか一戸建を買え

ると思い、裁判所の競売物件を検索、閲覧を繰り返していた。

ある日、いつものように検索していると次のような物件情報が飛び込んでき

た。


物件情報

戸建、鉄道の駅から300m(歩4分)、土地25坪付き、建物20坪、築

後30年、木造瓦葺2階建、3DK、建ぺい率70%、容積率400%、市

街化調整区域、東側幅員4.8m私道、北側幅員3.1m側道、売却基準価

額325万円、賃貸借あり。

さて、あなたならこの情報どういうふうに扱うでしょうか?                                     (続)



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